マルタ騎士団
2009年03月30日

地中海に浮かぶマルタ島については、あるうわさが何世紀も前から語り継がれている。かつてこの島を統治していたマルタ騎士団が地下に大都市を建設しており、秘密の車道や軍事迷宮が存在しているというロマンに満ちた伝説だ。
調査の結果、新しく発見されたトンネル網は16世紀、あるいは17世紀初頭に建築されていることが判明した。この年代は、11〜13世紀に十字軍で活躍したマルタ騎士団がその後、イスラム教徒の襲撃に備えてバレッタを要塞化した時期と一致する。
専門家によると、今回発見されたトンネルは人が通行可能な高さがあるが、基本的には、都市に欠かせない水資源を供給する大規模水道システムの一部であったと考えられるという。トンネル網は、騎士団長の宮殿の正面にあるパレス広場の地下で発見された。
騎士団長の宮殿は、かつてマルタ騎士団の歴代の団長が公務を執った建物で、現在ではマルタ議会とマルタ大統領の公室として利用されている。調査作業中に、まず地下貯蔵庫と思われる空間が見つかり、さらに地下12メートルからトンネルが姿を現した。トンネルはさまざまに分岐しているが、どれも先端は土砂に埋まっており行き先は判明していない。
マルタ騎士団は1099年に結成され、当初はホスピタル騎士団や聖ヨハネ騎士団と呼ばれていた。そして、十字軍において対イスラム教徒の有力部隊として大きな軍事的名声を得た。十字軍とは、キリスト教徒が聖地エルサレムの奪還を目的として起こした一連の軍事行動である。騎士団はその後、1530年にマルタ島を“年間タカ1羽”という賃料で借り受け、この島を本拠地とした。
1565年、イスラム教徒の仕掛けたマルタ包囲戦に際どい勝利を収めることができたが、今後に備えて半島高地のバレッタに要塞都市を築くことにした。安全は確保されたが、土地柄から不足する水資源に悩まされることになる。雨水や井戸では足りず、西にある谷から水路橋を通じて水を運んだ。この橋は現在でも一部が残っている。このような状況からすれば、今回発見されたトンネルについても水供給が目的だと考えるのは妥当といえる。
全文はソース元で
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=94742543続きを読む
先月の人気記事
昨日ちょっとだけ読まれた記事